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本年8月に起こった政権交代によって与党となった民主党は、自らの政権公約を実現すべく、大幅な財政出動を想定しています。一方で、世界同時不況と呼ばれる不況を主要因として、大幅な税収不足が指摘されております。
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そのため、政権与党は、収支のギャップを埋めるために、大量の赤字国債を発行しようとしています。国債は、いうまでもなく、国の借金です。いずれ返さなければなりません。最新の情報では、国と地方を合わせた借金総額が871兆円にものぼるそうです。景気浮揚のためには、支出を増大するべきであり、そのための国債発行をためらってはいけない、今つぶれてしまっては元も子もなく、将来のことを言っている場合ではないといった論調があります。たしかに、景気浮揚するためには、国が景気の下支えを行う必要があり、国に金銭的余裕がない現況からは、赤字国債の発行もやむを得ず、景気が回復した時に、国債の償還を行っていけばいいという考え方もできます。
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しかし、赤字国債を発行することと、個人がお金を借りて、事後、返済するということとは、明確に異なる点があります。それは、借金してお金を使う人と、返済する人とが同一ではないということです。国という単位でみると、「国」が借金して「国」が返すということで、同一性が保たれていると見えるかもしれませんが、借金時と返済時とで「国」を構成する国民が全く異なるという事実を忘却してはなりません。赤字国債を発行して、財政規模を拡大し、支出を増大して、景気の下支えを行い、その利益を享受するのは、その時の国民です。
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赤字国債の償還時に返済を行うのは、利益を享受した国民ではなく、返済時の国民なのです。赤字国債の償還年数が長ければ長いほど、利益を享受した国民と返済時の国民との食い違いが大きくなってくるのです。いわば、国債を償還する際の国民は、赤字国債の発行による利益を得ていないにもかかわらず、多額の赤字国債の返済を余儀なくされてしまうということなのです。これでは、国債発行時の国民と償還時の国民との間に、あまりにも不公平な格差が生じてしまいます。景気浮揚、あるいは今つぶれては将来がないといった建前をいかに論じようと、自らの世代のためにお金を使い、次の世代にそのツケを回すことは、世代間での不平等そのものであって、許されるべきものではありません。そうでなくても、現在の社会保障制度は、高齢者に重きを置きすぎ、若年層を軽視しており、世代間格差が生まれているのです。赤字国債の大量発行は、その世代間格差に拍車をかけ、まだ生まれもしていない将来の世代に負担だけを強いるものです。
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赤字国債発行には、現世代と次世代との間の、時間軸上の観点からみた、不平等という問題が潜んでおり、国民は、次世代に何を残すかという観点をもふまえて、議論の行方を注視していかなくてはなりませんし、財政・赤字国債発行に対する憲法上の規制の是非をも議論すべき時ではないでしょうか。
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